2027年度から放デイ・児発の常勤職員向け「基礎・実践研修」の導入が検討中。対象者や29科目・約29時間の目安、常勤7人なら203時間の試算、今からできる準備と注意点を解説します。
放課後等デイサービス(放デイ)や児童発達支援(児発)の職員研修が、2027年度から変わる可能性があります。
2026年10月5日に開催された厚生労働省の第65回「障害福祉報酬改定検討チーム」で、こども家庭庁は障害児支援に携わる人材の新たな研修体系について論点を提示しました。「基礎・実践研修」は、新人だけでなくベテランを含む全常勤職員に受講を求める方向で検討されています。
重要:この記事は2026年10月19日時点の検討内容を解説しています。2027年度の制度導入を予定しているものの、受講義務、研修時間、運用方法などの詳細が全て確定したわけではありません。
何が変わる?新しい「基礎・実践研修」の概要
国が検討しているのは、障害児支援に関わる職員の専門性を段階的に高める仕組みです。2025年の人材育成に関する検討会報告書を踏まえ、以下の3階層の研修体系が示されています。
- 基礎・実践研修:障害児支援に従事する支援者が、基本理念・権利擁護・本人支援・家族支援・地域連携などを学ぶ研修。2027年度からの導入を予定。
- リーダー研修:事業所で中心的な役割を担う職員向け。2028年度の導入を予定。
- コア人材研修:地域における専門的な助言や人材育成などを担う人向け。2029年度の導入を予定。
今回、放デイ・児発の運営者にとって特に重要なのは、最初に導入が検討されている「基礎・実践研修」です。国の資料では、日々の支援実践やOJTと一体的に、おおむね3年程度の期間で受講することが想定されています。したがって、全科目を2027年度の1年間で終えると確定したものではありません。
対象は誰?常勤全員・非常勤も一部受講の方向
2026年10月13日の福祉新聞の報道によると、新研修について全常勤職員に受講を求め、非常勤職員には一部科目の受講を求めることが検討されています。
これは新入職員だけに限定した研修ではない点がポイントです。経験豊富な児童指導員や保育士、管理業務を担う職員も、今後の正式な対象者・免除条件などを確認する必要があります。
ただし、非常勤の受講範囲や、他の研修修了者の扱いなど、細部は現時点で確定情報として扱うべきではありません。
研修内容は「Ⅰ・Ⅱ」の2段階、計29科目・約29時間が目安
2025年のこども家庭庁の検討会報告書で示された標準カリキュラムの目安は、基礎・実践研修(Ⅰ)が7科目・約7時間、(Ⅱ)が22科目・約22時間です。合わせて29科目・約29時間となります(各科目を60分と想定した場合)。
ただし、講義前後の学習や対話・振り返りを含む実施方法によっては、実際の拘束時間が長くなる可能性があります。研修時間を見積もる際は、動画の視聴時間と社内での取組時間を区別することが重要です。
研修は講義動画を見るだけでなく、職員同士の学び合い、上司との対話、現場での実践・振り返りを組み合わせる方向です。
29時間は確定した法定の受講時間ではありません。科目ごとの動画時間、対話や振り返りにかかる時間、実施方法によって実際の工数は変わります。
常勤7人なら203時間?事業所の負担を試算
経営面で最も準備が必要なのは、通常の支援業務と研修の両立です。常勤職員7人の事業所を例に、1人29時間で計算すると次のようになります。
| 常勤職員数 | 試算する研修時間(1人) | 延べ研修時間 |
|---|---|---|
| 5人 | 29時間 | 145時間 |
| 7人 | 29時間 | 203時間 |
| 10人 | 29時間 | 290時間 |
これは延べ人時(人×時間)の試算であり、1年間の追加研修義務や、全てが通常業務とは別に必要な時間と決まったわけではありません。また、日常のOJTに組み込める部分もあり得ます。
国は研修時間の確保や代替要員の負担を課題として挙げ、必要な支援体制を確保することを前提に、人員配置の取扱いを柔軟にすることも論点として検討しています。具体的な要件が示されるまでは「研修中は配置基準を満たさなくてもよい」と理解しないよう注意が必要です。
放デイ・児発の経営者が今からできる4つの準備
1. 常勤・非常勤の職員数と研修履歴を一覧化する
まずは職員ごとの雇用形態、職種、現在の研修履歴を整理しましょう。対象範囲が正式に決まったとき、必要な受講者を迅速に洗い出せます。
2. シフト表に研修を組み込む余地を確認する
支援時間中の配置に支障が出ないよう、動画視聴や振り返りの時間をどこに確保できるか試算します。現時点では仮に月2〜3時間などの複数パターンで確認する程度で十分です。
3. OJT・職員会議・振り返りの仕組みを見直す
新研修は、現場での学びと組み合わせることが想定されています。既存の職員会議、ケース検討、支援記録の振り返りを整理し、学習記録を残しやすくしておくと役立ちます。ただし、現在の社内会議が新研修の修了要件として認められると決まったわけではありません。
4. 通知が出るまで一律の受講契約・費用発生は急がない
今は計画づくりに着手する段階です。法令・通知・実施主体・受講管理の方法などの正式情報が出てから、必要な研修やシステムを確定させる方が合理的です。
よくある疑問
Q. 2027年度から全常勤職員がすぐに受講しなければなりませんか?
現時点で直ちに義務付けられるわけではありません。国の資料ではおおむね3年程度での受講が想定されますが、最終的な受講期限・経過措置は今後の制度決定を待つ必要があります。
Q. 児発管の研修とは別ですか?
今回の「基礎・実践研修」は障害児支援に携わる幅広い職員を対象とする新体系の研修です。既存の児童発達支援管理責任者研修と同一のものではありません。研修の重複・免除などの扱いは正式な案内を確認してください。
Q. 非常勤職員も全29科目を受講するのですか?
非常勤職員については一部科目の受講が検討されている段階であり、全29科目の受講が決まったという情報ではありません。
まとめ:今すべきことは「受講」より「準備」
2027年度に向けて障害児支援の研修体系の整備が進められています。放デイ・児発では、職員数の把握、研修時間の概算、シフトやOJTの見直しから始めるのが現実的です。
ただし、現在の情報はあくまで検討段階です。正式な制度・運営基準・経過措置が示され次第、内容の確認と更新が必要です。
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参考資料・出典
- 厚生労働省|第65回障害福祉報酬改定検討チーム資料(2026年10月5日)
- 同・資料「障害児支援に係る報酬・基準について」(論点1)
- 福祉新聞Web|障害児支援の全常勤職員に基礎研修(2026年10月13日)
- こども家庭庁|障害児支援における人材育成に関する検討会
最終確認:2026年10月19日。今後の国の議論や通知により内容が変更される場合があります。
くま先生のひとこと
制度だけを見ると難しそうですが、実務ではひとつずつ整理すれば大丈夫です。
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