令和8年度(2026年度)の障害福祉サービス等報酬改定を放課後等デイサービス向けに解説。6月1日以降の新規指定で基本報酬が0.982倍となる特例、重度障害児・地域への配慮措置、既存事業所への影響を整理します。
2026年(令和8年度)の障害福祉サービス等報酬改定で、放課後等デイサービス経営に最も直接影響する変更の一つが「新規事業所に対する応急的な基本報酬」です。
2026年6月1日以降に新規指定される放課後等デイサービスでは、原則として基本報酬が従来の所定単位数×0.982となります。つまり基本報酬部分について約1.8%低い水準です。
一方、既存事業所は従前どおりです。また、重度障害児への支援やサービス不足地域などには配慮措置があります。
この記事では、放デイ事業者が令和8年度改定で特に押さえたいポイントを、こども家庭庁の公表資料・Q&Aを基に整理します。
令和8年度改定のポイント
- 2026年6月1日以降に新規指定される放デイは、原則として応急的な基本報酬の対象
- 放デイの応急的な単価は所定単位数の1000分の982
- 既存事業所は従来の基本報酬
- 強度行動障害児、医療的ケア児など一定の利用者には配慮措置
- 重症心身障害児を主として受け入れる事業所や一定の地域・自治体必要事業所にも配慮措置
- この措置は令和9年度報酬改定までの臨時応急的な取扱い
- 処遇改善加算も令和8年度に拡充
新規放デイは基本報酬が0.982倍に
こども家庭庁は、収支差率が高く事業所数の増加が続くサービスについて、制度の持続可能性を確保する観点から、新規事業所に限って臨時の報酬単価を設定しました。
対象サービスは、就労継続支援B型、共同生活援助の一部、児童発達支援、放課後等デイサービスです。
放デイについては、応急的な報酬単価を「所定単位数の1000分の982に相当する単位数」としています。
誰が対象になる?
原則として、2026年6月1日以降に新規指定された放課後等デイサービス事業所が対象です。
2026年5月31日以前から指定を受けている既存事業所については、従来の基本報酬が続きます。
「新規指定」だけが対象
Q&Aでは、従たる事業所の追加、単位追加、定員増加、住居追加などは「新規指定」ではないため、この応急的な報酬単価の対象ではないとされています。
また、一定の事業譲渡や吸収合併等で、前後の事業所が実質的に継続して運営されると認められるケースについても、既存事業所と同様に扱う考え方が示されています。
開業計画の売上予測は古い単価のまま作らない
これから放デイを開設する場合、以前の基本報酬表をそのまま使って事業計画を作ると売上を過大に見積もる可能性があります。
たとえば、配慮措置に該当しない一般的な新規事業所であれば、基本報酬部分は従来単価×0.982を前提にした方が安全です。
なお、加算まで一律に0.982倍になるわけではありません。この特例は「基本報酬」に対する取扱いです。
重度障害児等には配慮措置がある
新規事業所でも、重度障害児等への支援については従前の基本報酬単価を適用する配慮措置があります。
放デイでは、主に次のようなケースです。
- 医療的ケア区分1~3による基本報酬を算定する利用者
- 強度行動障害児支援加算(Ⅰ)(Ⅱ)を算定する利用者
- 人工内耳装用児支援加算を算定する利用者
- 視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定する利用者
- 主として重症心身障害児を通わせる事業所
対象加算を月に1日でも算定したら?
令和8年度Q&Aでは、対象となる加算をその月に1日以上算定した場合、原則としてその利用者について当該月は応急的な報酬単価の適用対象外とする考え方が示されています。
利用者単位で算定する加算等の場合は、その利用者だけが対象外です。事業所全体が一律に旧単価へ戻るわけではありません。
一方、主として重症心身障害児を通わせる事業所の基本報酬については、事業所全体が配慮措置の対象です。
地域への配慮措置
次のような事業所についても、従前の基本報酬を適用する配慮措置があります。
- 離島・中山間地域など特別地域加算の対象地域にある事業所
- 自治体が客観的に必要と判断して設置する事業所
- 公募により、サービスが不足している地域に設置する事業所
- 自治体から補助等の経済的支援を受けて設置する事業所
開業場所によって取扱いが変わる可能性があるため、指定権者との事前相談で確認すべきポイントです。
この特例はいつまで?
こども家庭庁のQ&Aでは、この応急的な報酬単価は令和9年度報酬改定までの間に限った措置とされています。
そのため、令和9年度以降については、次回改定の議論を確認する必要があります。
処遇改善加算も令和8年度に拡充
令和8年度改定では、福祉・介護職員等処遇改善加算についても拡充が行われています。
放課後等デイサービスについては、新しい区分・上乗せを含む加算率が示され、生産性向上や協働化などの取組を行う事業者への上乗せ措置も設けられています。
処遇改善加算は給与規程・配分・職場環境等要件など実務上の確認項目が多いため、別記事で詳しく整理します。
これから開業する人が見直すべき3つの数字
1.基本報酬
2026年6月1日以降の新規指定であれば、配慮措置に該当するか確認したうえで、応急的な報酬単価を使って収支を作ります。
2.取得予定の加算
加算は「取れたら利益が増えるもの」ではなく、必要な人員配置・資格・研修・記録コストとセットです。採用計画と同時に設計します。
3.人件費
報酬改定では処遇改善も強化されています。売上だけでなく、給与水準、採用条件、社会保険料、処遇改善加算の配分まで含めて人件費を組み直す必要があります。
既存事業所は何をすればいい?
既存事業所については、新規事業所向け0.982の特例そのものは基本的に影響しません。
ただし、処遇改善加算や令和8年度の通知・Q&Aは確認する必要があります。また、今後新たな事業所を別指定で開設する場合は、その新規事業所について特例の対象になる可能性があります。
まとめ
令和8年度改定で、放デイ事業者がまず押さえるべきなのは次の点です。
- 2026年6月1日以降の新規指定は、原則「基本報酬×0.982」
- 既存事業所は従前どおり
- 重度障害児等・サービス不足地域には配慮措置あり
- 配慮措置は利用者単位になるケースと、事業所単位になるケースがある
- 特例は令和9年度報酬改定まで
- 新規開業の収支計画は令和8年度単価で作り直す
特にこれから放デイ開業を考えている場合、古い収支シミュレーションのまま物件契約や採用へ進まないことが重要です。
一次情報
くま先生のひとこと
制度だけを見ると難しそうですが、実務ではひとつずつ整理すれば大丈夫です。
NEED A SECOND OPINION?
自社の場合どうなるか、整理したい方へ。
開業・運営・会計・業務改善など、記事だけでは判断しにくい論点を相談できます。